水中で飼われるの段

これは結婚したてのころの話。



一応、実家の近所に、新居としてマンション買った。
ピアノ可の防音マンション。

このマンションは、賃貸区分と分譲区分があったが、分譲区分を買った。
まだ当分大学勤めだからね。

音大沿線の駅前なので、賃貸区分は、ちょっとおうちがお金持ちの音大生で、すぐに埋まったようだ。
ドラムスの練習ができるほど、防音・防震。
こんな好都合物件が職場卑近にできるなんて。

呼ばれてもすぐに出られるように、2F。エレベーターに頼らずに済む。
ホントは高層階のペントハウスに憧れたんだけど、ま、ちょっとガマン。

目的が音大生用など、ある程度絞られてるだけあって、やたら広い居間。
ダイニングは居間と一緒くたでオープン。
シンプルだけど機能的なキッチン。ちょっと狭いけどね。

寝室よりも居間中心の生活だから、変に部屋数が多いよりよっぽど私達向き。



床暖房の効いたフローリングに、一部カーペット置いて、大きなクッション置いて、
私はほとんど、裸にピアス、そして貞操帯と首輪と大人のおもちゃに囲まれて過ごしている。
ここは、五反田イメクラ店かってくらいすでに、多くの器具がセットされていたりする。

分譲区分なので、良一が改造して、床には妖しい金具が何ヶ所か、さながら体育館の床の如く埋設してある。
必要に応じてフタ開けると出てくるヤツね。

私の首輪は、その1つに鎖で繋がれている。

はああぁぁ~

大満足。

正直、夢のような生活。

この飼われてるって感じが好き。
休みはいつもこんな感じで、だらだらビデオ見たりしている。

鎖の効能には、とても良いことが1つある。
それは、手の届くオヤツ食べちゃっても、追加を取ってこれないことだ。
ダラダラしてるわりには太らなくていい。

籠の中のネズミよろしく、エクササイズマシンに拘束され、
ある回数こなさないと解放されないこともある。
おかげさまで、楽しく?プロポーション維持されている。


部屋の中心からキッチン寄りに、バカでかい円筒形の水槽が置いてある。
直径が1m、高さが2mほど。 上は、天井との隙間が40cmくらい。
下にはポンプやヒーターの入っている部分があり、上には照明などが点くようになっている。

良一は熱帯魚飼うって言ってたけど、初心者がいきなりこんなでかい水槽で、ちゃんと飼えるのかしら。



ある日、良一が水槽に水を張り、温度を設定して運転し始めた。
いよいよ熱帯魚ちゃんがうちに来るのかと思ったら、違うの。

…私が入るんだってさ!


それから、ちょっと残酷な準備のはじまり…

良一が持ち出して来たのは、経鼻挿管用のチューブ一式。
一応専門だから、それを見ただけで、我が身に起こることがすぐに判る。
つまり、鼻から気管まで直接チューブを突っ込まれて、呼吸を全部管理される…
その上で、私のことを水槽に沈める気だろう…

「これ飲んで」
見ただけで判る、全身麻酔の前投薬。
いっつも自分が患者さんに渡してるもの。

すっごい、イヤ…というか惨めな気分。
自分で自分の手に手錠を掛けるようなもんだ。
結局、挿管は覚醒状態だとうまくいかない。
だから意識を奪うのだ。

あ~あ。 眠くなってきた。
ヤダなぁ。

眠らないうちに自分で注射薬の方を筋注する。
いってー!
自分で注射なんて…麻薬じゃないんだから…

もう、ぐらんぐらんになったところで、良一に静脈内麻酔薬を静注されて、完全にオチた。

み・じ・め・~ …  …    …





目が醒めると、すっかりチューブを通されていた。
といっても、鼻からビロンと垂れてるだけ。
その先には、本来は少し径の太い蛇腹チューブが付いて麻酔器に繋がるのだが、
軽くて丈夫なプラスチックチューブが繋がっていた。
水圧対策だろう。

チューブが声帯を押し開いたまま貫通してるので、全く声が出ない。
喉がヒリヒリする。

「シューーッ!」
「シューーッ!」
「シューーッ!」
「シューーッ!」
「シューーッ!」

良一は、病院の倉庫で腐ってた、旧型の麻酔器をもらってきてた。
それにチューブが接続されている。
まだ自発呼吸があるので、麻酔器は作動してない。
黒いバッグが、ばふーと膨らんだりしぼんだりする。
でもチューブの距離があるので、すっごい肺が重くて苦しい


最初は拘束も何もナシで、ただ入るだけ。

良一が押さえる脚立を上がり
水槽の上でしばし躊躇してから、ドブンと足から入っちゃった。

体のまわりの産毛についた気泡が立ちのぼり、
上へ上へと消えてゆく。

あ、麻酔器が動作した。
麻酔器のサイクルに合わせて呼吸する。


すごく不思議な感じ…

でも、だんだん体が浮いてくる。

それを見ていた良一が、脚立を上った。

ドブン!
と何か入ってきた。

パワーアンクル?
筋肉トレーニング用のおもりだ。

ふ~ん。
水中でバリ…とベルクロを剥がして左右の足に巻く。

あ、ちゃんと立てるようになった。

おもしろ~い!!
水中花ってやつね。私。
ヘヘ…


…あったかい…

…明るい…

水と強化ガラスがなければ、部屋で突っ立ってるのと変わらない。

呼吸は加圧されてるので、苦し目だけど、思ったよりラクだ。

そのままガラス際まで寄って、ドンドンとガラスを叩く。
力一杯叩いても、
水の抵抗でポンポンとしか叩けない。


ガラスの向こうで良一が笑ってる。


私は唇を尖らせ,ガラスにそっと触れる。

目を閉じる。


まぶたの裏が一瞬暗くなる。

また明るくなる。

目を開ける。


良一が顔を下げてゆく最中。

私は尖らせた唇を戻し、

ニッコリと笑う。

ボアっ!と水が浸入してきて、ちょっと驚いた。


ああ…

これだけでもう、Hな気分。

ムダと知りつつ、股に手を当てる。

Hしたい~~!

どぷん!とまた何か入ってきた。

…手錠…

良一は、私の今の、チリチリ焦がされるようなHな気分を知ってるはず…

そして、わざと… 手錠…。

こんな水槽の中で、細いチューブで命をつながれてる状態だってのに…

今の私の頭には火照った熱い塊しか入ってない。

水中で誇張された自分の激しい鼓動を聞く…

ドクンっ!

ドクンっ!

ドクンっ!

ドクンっ!

ドクンっ!
ドクンっ!
ドクンっ!
ドクンっ!
ドクンっ!
ドクンっ!

ゆっくり屈んで、手錠を拾う。

目の前で左手に掛けて、

後ろに回し、

後ろ手に右手にも掛ける。

無音で掛かる手錠。


ふううううう~~~~~


もう、とろとろのドロドロのメロメロ…


ドクンっ!

ドクンっ!

ドクンっ!

ドクンっ!

ゆっくりとした大きな音の鼓動が、私の鼓膜を支配する。


私のとろけそうな表情を、水槽の外から見守る良一。


薄笑いを浮かべる私。

イケないけど気持ちいい…

しばらくこの高揚を楽しみたい。

良一は股間を押さえている。

アハハ!

ちょいとガマンしな!ご主人様!
自分でやったんでしょ!
私をこんな目に…

こんな…

きもちいい…目に…

ウ…

ぶるぶるぶるッ!

あ、ごめん。
少しイッたよ。
こんな時は女のコでトクだったか?私。

いや、でも、ぜんぜん収まらないどころか、ますますメロメロに…


目を瞑り、背中でガラスにもたれかかり、

水圧と、苦しめの呼吸と、後ろ手の拘束感を噛みしめる。

結局、胎内回帰願望ってとこかしら…

でもお…

キモチいいからいいの。

理由なんてなんでも。



それから何時間か水中でだらだらしたあと、手錠の鍵が降ってきて、出ることになった。

…って、後ろ手だと拾えない~~!

お尻が付くまで屈めるほど呼吸チューブ長くないよ~!

…だめじゃん…

良一ぃ~!

あ、笑ってる!

ぐぐ、ぐぞー~

足でまさぐって、足の指でつまみ、なんとか背中で手に受け渡した。

ふー。


手錠を外し、
おもりを外し、
水槽のふちまで蹴り上がって、良一に引き揚げてもらった。


チューブを鼻のところで外し、シューッ!と直接呼吸する。

「自分で抜けよ」
と良一が言うので、ウンウンと頷いた。

しかし、覚醒時に抜管するなんて患者さんでもやったことない。
声帯傷付かないかなぁ。

鼻の横から出ているチューブの、バルーン用のチューブにはキャップが嵌めてあった。
キャップを取る。
気管支の少し手前がふっとラクになった。
呼吸が「ゼーッ!」という音に変わる。

ゆっくりとチューブを引き抜く。
ウッ!
痛い!
やだなぁ!
涙が出てきた。

ウ!ウ! ウ!!

ゲハッ!!!

オエエエエエエ!!

ゴホゴホ!!

鼻がまだだ。

鼻痛い~~!!
いたっ!

抜けた!


うわ!だめだ! 洗面所!!

ダダダダダッと洗面所へ。

ゴーーホッ!

ゴーーホッ!
ゴーーホッ!

ゲーーーッ!


ごほっ!

ごほごほ!

はーーー。

死ぬよぉ!

「大丈夫?」
背後に良一が来た。

「ばがあ! ぶりだよお! ごんなのおお!」
「あはは。 まあいっぺん試せば判るからね」
「ばかばか!」
「悪かったって」


「あ~~苦しかった。 でも抜管時のポイントがわかったような気がする」
「勉強熱心だねぇ。 麻酔医にまかしときゃいいじゃん」
「なんでも上手にやれるようになりたいの。 点滴の静脈取るのだって、婦長よりうまいんだゾ」
「そりゃすげえ。 まあ、婦長よりはちょっと大げさだろ」
「少しはデキるとこ見せとかないと、看護婦のコも付いてこないしね」
「おまえは充分デキるって見られてるよ。後輩にも。
 そいつがまさか、こんなドロドロの奴隷だなんて、誰も思わないだろうな」
「言わないで…
 そうゆう言い方…
 いちばん恥ずかしい…」

「あーあ! 股のそれ、何だよ!」
「え? あッ!!」
内股に、まださっきの水が垂れてるのかと思ったら、
自慰防止板から床まで、つぅーーっと、ながーい銀色の糸が引いている。
洗面台の前の床には、直径2cmくらいのぬめっとした溜まりまで出来てんの。

ひょえー!

はずかし~~!


良一は、壁に取り付けられてるキーボックスの数字ボタンを押すと、中から鍵を取り出し、
「ほらほら、お嬢様、久々の寝室でございますよ」
と言ってニヤニヤ笑った。

そのまま二人で寝室に入り、二人の貞操帯を外し、痺れるほどのHをした。
これが正しい貞操帯ライフ…
でいいんだよね。たぶん。

良一と、ちゃんとSEXするようになって感じたこと。
それは、やっぱり自慰やバルーンは、おやつ感覚だってこと。
SEXの厚みにはかなわない。
でも、それも、普段貞操帯でガマンしてるからなのかな?
他のSEXってしたことないから、さすがにわかんないや。
でも、私には合ってるよ。へへ。



水槽はどうなったかって言うと、そのまま、まだ使ってる。
でも、いちいち挿管されるのは、もうコリゴリ。
長いシュノーケルを銜えて水中花やらされてる。

その間は家事免除だから、まあ、ラクだわね。
良一がせっせと食事を作ってるのを、ガラス越しに眺めるのは面白いよ。
ガラス越しということだけ除けば、風俗嬢とヒモみたいな関係かもしれない。
水槽の魚は、こんな気分で人間の生活を見てるのかな…って。




なんか、漠然とした話なんだけど…
面白かった?